研究課題
基盤研究(S)
精子幹細胞はグルタミン由来のグルタチオンにより活性酸素(ROS)産生酵素Nox1由来のROSを抑えると共に高い塩基除去修復活性により突然変異率を体細胞よりも低く保つことで老化を抑制することを見出した。一方、自己複製因子により生じたROSが転写因子Bcl6bを介してNox1遺伝子を誘導し自己複製能を増強することを我々は明らかにした。更に、臨床で広く使われている体外受精や顕微受精が生殖細胞に不可逆な障害を引き起こすことを研究の過程で発見した。
現在、我が国では14人に一人が生殖補助医療により生まれている。特に顕微授精はウサギ2匹、ウシ1匹が生まれたのみで臨床応用されたことからヒトに対する十分な安全性は検討されていない。今回の研究により我々が得た精子幹細胞のもつ強い老化抵抗性の分子機構の知見は今後の臨床応用に有益なものであるが、その応用を進める一方で現在の生殖補助医療の安全性に対する再検討を呼びかける必要がある。
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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