研究課題/領域番号 |
18K00480
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | 中央大学 (2021-2023) 香川大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
金澤 忠信 中央大学, 理工学部, 教授 (20507925)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ソシュール / 伝説・神話研究 / ニーベルンゲン / ゲルマン英雄伝説 / トリスタンとイゾルデ / 比較神話学 / 一般言語学 / 構造主義 / 歴史比較言語学 / ギリシア神話 / 記号論 / 伝説・神話 / 言語思想 / 19世紀末・20世紀初頭 / ジュネーヴ |
研究成果の概要 |
フェルディナン・ド・ソシュールはアメデ・ティエリのアッティラ研究を参照し、叙事詩に過去の事実の痕跡を見出す。その方法論は、現代フランスの歴史研究(主観性の再構築)の対極をなす。また、構造主義神話学や徴候的読解とも異なる。1904年に出版予定だった著作では、ニーベルンゲンの起源をライン川沿いのヴォルムスではなく、ローヌ川沿いのリヨンやジュネーヴとしたが、これはドイツ、フランスに対してブルグントの末裔としてのフランス語圏スイスの国民的アイデンティティを確立するためでもあった。この著作が出版されていたら、彼は一般言語学の創始者としてではなく、特異な神話学者ないし歴史学者として知られていただろう。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来ソシュールの伝説・神話研究は記号論あるいは構造主義の枠組でしか捉えられてこなかった。しかしソシュールは叙事詩中の一見無意味な細部に歴史的事実の痕跡があると想定し、ブルグント王国の歴史の再構成を試みる。『ニーベルンゲン』の舞台「ブルグンディア」をヴォルムスではなくジュネーヴ周辺とし、クリームヒルトのモデルをブルグント王女クロティルドとする説は、ジークフリートを国民的英雄とみなすドイツに対する痛烈な批判となり、また「フランク」に対する「ブルグント」の優先性を主張することにもなったはずである。このように、本研究によって、ソシュールの伝説・神話研究を、歴史的・地政学的文脈で読むことが可能になった。
|