研究課題/領域番号 |
18K01022
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平松 英人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (50755478)
|
研究分担者 |
猪刈 由紀 清泉女子大学, 文学部, 非常勤講師 (10773583)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | キリスト教社会福祉史 / 市民社会史 / キリスト教史 / 社会福祉史 / ドイツ史 / キリスト教社会事業史 / カリタス / アーヘン / ハンブルク / 地域研究 / 敬虔派 / キリスト教社会史 / キリスト教社会事業 / 自由主義神学 / 敬虔主義 / 市民社会 / ディアコニー / バーゼル / ピエティズム研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までの研究成果を踏まえ、総合的な研究成果のとりまとめを進めた。その具体的な作業としては、研究代表者がパネリストとして、研究分担者がコメンテーターとして企画した2021年のキリスト教史学会第72回大会シンポジウム「近代都市形成期のキリスト教と社会事業:黎明期の苦悩」での報告を、研究代表者が編著者の一人となって論集にまとめる作業を行った。 本研究計画では、「近代ヨーロッパに成立した自由で自律的な個人としての市民を、都市救貧事業という公的な社会実践へと向かわせた動機としてのキリスト教信仰の現代的意味とその射程を明らかにすること」が目標として掲げられた。研究代表者は主として、カトリックが主流派を占めるケルンとアーヘンの二都市を対象に、19世紀に近代化・都市化が急速に進展するなかで、伝統的教会的貧民救済から行政や市民による都市政策、社会事業としての公的救貧事業への転換過程における信仰の位置づけとその意義、役割とを考察した。その結果、両都市においては救貧における精神的よりどころが、キリスト教的隣人愛から近代市民社会における公共の福祉への貢献としての社会的弱者支援という市民的エートスへの転換が見られる一方で、社会的実践に関わった当事者たちのキリスト的愛へのこだわりも、信仰実践であり、かつ宣教の機会でもあったキリスト教救貧の意義、役割が、ただ単純に後退、あるいは衰退していったとは言えないことが明らかとなった。 そのうえで、18世紀から19世紀にかけてプロテスタントの国境を越えた活動を分析した研究分担者による研究成果をあわせて鑑みれば、長い19世紀において社会の近代化と世俗化が展開していくなかにあっても、キリスト教信仰に基づく社会的実践とその意義、役割は、近代社会事業が一国の枠組みを越えてグローバルに展開し、ネットワーク化されていくうえでの鍵となる重要な契機であった。
|