研究課題/領域番号 |
18K01071
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中村 由克 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (10737745)
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研究分担者 |
須藤 隆司 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (10641201)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 石器石材鑑定 / 石材移動 / 産地推定 / 珪質頁岩 / 安山岩 / 透閃石岩 / 黒曜石 / 実体顕微鏡 / 石材鑑定 / 石材原産地 / 帯磁率 / 実体顕微鏡観察 / 石器石材 / 剥片石器石材 / 石斧石材 / 旧石器時代 / 原産地 / 石斧 / 人類移動 |
研究実績の概要 |
令和4年度は主に4種類の石材について調査研究が進展した。第1は、主要な内容となる珪質頁岩についてである。山形県寒河江地域、小国地域、新潟県津川地域などの珪質頁岩の原産地の調査を行い、石材サンプルを採集した。そして、山形県、新潟県、および群馬県の主要な旧石器時代遺跡の石器の石材を実体顕微鏡を使って調査した。その結果、山形県の寒河江地域、小国地域、新潟県の石材が判別でき、相互の石材移動の様相が判明してきた。群馬県下の旧石器時代遺跡における珪質頁岩製石器の多くを調査し、山形と新潟の石材が搬入されている実態が分かった。この結果、関東地方と北陸、東北の石材移動の一端が判明した。これらの結果は、論文化した(中村2022、2023)。 第2に、サヌカイト、安山岩については、石川県の富来安山岩原産地の調査を行い、石川県、富山県内の石器石材を調べ、富来安山岩とサヌカイトの使用実態を検討した。 第3は、黒曜石についてで、和田鷹山群の黒曜石が晶子形態分析で原産地が細分して明示できることを学会発表し(中村ほか2022)、さらに野尻湖遺跡群の大久保南遺跡の石器を分析し、それらには鷹山原産地は全く含まず、東餅屋など和田側のものが占めることが明らかとなった。東餅屋原産地の黒曜石をもつグループは、石斧石材を透閃石岩を用いており、この点で諏訪系黒曜石と透閃石以外の石材も用いる貫ノ木遺跡や仲町遺跡の集団とは異なっていることが判明した。 第4には、石斧石材のドレライトの原産地サンプルを採集し、薄片を作成し岩石鑑定を行い、関東北陸などの旧石器時代遺跡の石斧石材と比較した。これらを通じて、旧石器時代人類の移動を石器石材で検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、珪質頁岩の原産地と遺跡の石器の調査が集中的に実施できたことで、山形県、新潟県、群馬県の状況が詳細に判明した。そして、実体顕微鏡を使って珪質頁岩の産地推定を行う方法を考案し、論文化することができた。さらに、黒曜石の産地推定、安山岩・サヌカイトの産地推定についても資料を増やすことができた。 一方、令和3年度までにコロナ感染症の影響で調査が遅れていたため、令和4年度の調査で予定していた範囲が実施できていないものが残されていることと、全体の成果のまとめを行うことができなかった。このため、令和5年度は1年延長していただき、研究のまとめを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、東北、北陸、関東の珪質頁岩製石器の移動を把握する調査の補足を行う。また、黒曜石と他の石材を合わせた石材移動を引き続き調査する。 1 珪質頁岩の原産地推定法の論文化ができたので、この方法を用いて山形県、新潟県などの石器の調査データを増やしたい。 2 各種石材の調査方法が判明したので、これらの技術を用いて東北、北陸、中部、関東などの旧石器時代の石器の移動実態を立体的に解明し、これまで調査した成果を取りまとめたい。とくに個別論文では基礎資料となる石材の顕微鏡写真が白黒の状態で印刷されたものが多いので、研究の報告書としてはカラー図版を収録し、各地の石材判定に役立つものを作成する予定である。
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