研究課題
基盤研究(C)
本研究は、わが国の非営利法人法制が社団と財団との平準化を進め、後者の特異性に着目しないことへの疑義を出発点とした。両形態の対抗を強く意識するフランス法を検討対象とし、財団の存在態様を考究した。一方で、20世紀初頭の法人法制の激動期に遡行し、財団を冷遇する歴史的文脈を明らかにした。鍵を握るのは、教会内で分別管理され、法人格を持たない財団である。他方で、現代の財団の利用実態を解明した。頻用されているのは法人格を持たない財団である。巨大な公益財団法人が、一定の財産体を受け入れて分別管理し、家族によるチャリティー活動を支援している。二つの要素の接合により、フランス財団法制の系譜が明らかにされる。
第一に、「他法人管理財団」ないし「財団法人内財団」と称される財団の意義を明らかにした。「フランス財団(Fondation de France)」のような公益財団法人の中で管理される財産体であって、法人格を有しないことを特徴とする。第二に、この形態の財団の祖型が、教会内部においてミサや施設といった特定の目的のために設定される財団(教会内財団)に存するとの理解を提示した。第三に、財団は死者が設定する目的の下で活動するという基本的な認識を基に、その派生的成果として、死者論を展開した。
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論究ジュリスト
巻: 34 ページ: 168-176
Travaux de l’Association Henri Capitant
巻: 68
法制史研究
巻: 67 ページ: 404-407