研究課題/領域番号 |
18K02426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 教員 / 過重労働 / 指導の変化 / 自律性 / 教師 / workload / 多忙化 / 教育改革 / アカウンタビリティ / マーキング / 専門職 / 多忙 / 労働過程 / 勤務環境 / intensification / 感情労働 / turnover(離職) / 教師の仕事 / 教育労働 / 労働関係 / 新自由主義 |
研究実績の概要 |
本研究では<労働>という点から、教員の勤務状況の問題を考察することを目的としている。本年度は、フィールドワークの難しさから、これまでに実施し多アンケート調査の再分析の可能性を探り、また、教員インタビューを中心にデータ収集を実施した。そこでは、ベテラン教員を中心に、「若いころと比べて、教師という仕事にどのような変化があったか」「それは何によるものであると考えるか」を語ってもらった。いずれも、多忙感の変容を検討するのが目的である。それによって、教育労働の変質が明らかになるのではないかと考えられた。 インタビューでは、①子ども、保護者の変化、② 対応策が<現場>ではなく、<共通の方策>に基づかねばなくなったことという二点が、仕事上の複雑さを増していることが明らかになった。同じような生徒指導であるにもかかわらず、その対応策に変化がみられるということである。 <子ども・保護者の変化が、教員の仕事に影響している>という際、あまりにも当たり前の言説であり、それを特に深く掘り下げているわけではない。上述したインタビュー調査では、問題が『子供の変容』「親の変容」にあるのではなく、その事案の取り扱いが昔と異なってきたことが指摘されていた点で新しい。この観点は重要で、教員の仕事の自律性の範囲が制限されることに係る問題として、考察される必要があると思われる。 これまで<感情労働>などの理論を参考に、教育労働の本質と近年のその変化を探ろうとしてきたが、対人関係の労働という点からの検討が、今少し必要と思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた海外での調査研究は、引き続きペンディングになっており、この部分は今年度も展開をすることができなかった。代わりに、数名の研究者・教員にZOOMを通じて、以前に入手したデータの解釈の妥当性についてインタビューをするなどを実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今回、日本のインタビュー結果から、<対人関係労働>としては、教員の自律性の変化という課題は、かなり重要ではないかと考えられた。とくにイギリスにおいては、初等教育教師の意見ではあるが、これが重要な課題(教師の誇りを奪われること、教員の魅力が低下すること)と関係している旨の意見もあった。この点に焦点を当てて、最終の報告をまとめたい。 教師の「働き方改革」では、業務量の多さが注目され、役割の分業が中心になっているが、教師の本務である<授業>や<生徒指導>の面で、実は大きな変化が起こっていてそれが看過されているのではないかと思われるので、その点を検討したい。
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