研究課題/領域番号 |
18K03438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
大江 貴司 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90258210)
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研究分担者 |
町田 学 近畿大学, 工学部, 准教授 (40396916)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 異常拡散現象 / 数値解法 / 代用電荷法 / 基本解 / CQM / 異常拡散方程式 / 基本解解法 / 数値計算法 / 層状領域 / 逆問題 |
研究実績の概要 |
令和4年度は主として、拡散方程式に対する代用電荷法のNaiveな実装において時間刻みを小さくした場合に生ずる数値的不安定性への対処について、研究を進めた。前年度末に、Convolution Quadrature Method (CQM) を適用することにより安定性の改善の可能性があるという着想を得た。この着想を確認すべく、予備的な数値実験を行った結果、数値的に安定に計算を行うことができたたため、その理由を探るべくいくつかの観点から検討を行った。まず、ステップ毎の仮想電荷の計算に必要となる連立方程式の性質、特に行列の条件数を調べたところ、大幅に小さくなっていることが確認できた。このことが数値的不安定性の除去につながったものと考えられる。一方でCQMを用いるためには、近似解の表現として時間方向についてはシンプルな重ね合わせではなく畳み込み積分を離散化する手法を用いている。そのため、得られた数値解が拡散方程式を厳密に満たすという性質を失っている可能性がある。また、メッシュレス的な方法が持っている、時間・空間に関する計算点の自由度がかなり失われており、これらの点について改善の余地があることが判明した。 なお先に述べたように、代用電荷法のNaiveな実装において仮想電荷の計算に必要となる連立方程式の行列は悪条件なものであるが、対角性は強いため、その性質を生かした安定化が図れないかについても検討中である。 以上の結果について、令和4年度中の発表はかなわなかったものの、5年度の早い時期に行われる学会で発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度は、令和3年度の研究で判明した拡散方程式に対する代用電荷法のNaiveな実装において、短い時間刻みの場合に生ずる不安定性に対する対処を中心に研究を進めた。その結果、一定の成果を得ることはできたものの、まだまだ不十分なものであると考えている。 また、目標である層状領域に対する適用については、令和4年度は手を付けることができなかった。そのため、研究期間をさらに1年延長することで見込みを得たい。 以上を考慮し、当初の研究予定からは「遅れている」と判断したが、研究計画の段階では知りえなかった興味深い数理的現象が数多く発見された。これらの発見は、非定常現象に対する代用電荷法の適用の研究の今後の発展に寄与するものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の研究で、時間刻みを小さくしたときに生ずる数値的不安定性に対し、Convolution Quadrature Method (CQM) が有効であることがわかった。また、線型安定解析の結果として、仮想電荷の計算で必要となる連立方程式にあらわれる行列について、その条件数を大幅に小さくすることができることが分かった。 これらの結果を踏まえ、令和5年度は最終年度であることを考慮し、次の2つのテーマに絞って研究を進める。(i) CQM を適用した手法の高精度化、特にCQMに陰的 Runge-Kutta 法を組み合わせることにより、線型多段解法より高精度な計算の可能性を追求する。(ii) 層状の領域に対する適用の検討、特に空間的な電荷点および拘束点の配置に関する分析を行う。
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