研究課題
基盤研究(C)
本研究では、量子スピン液体状態の実現とトポロジカル秩序との関わりに関する知見を得ることを目的として、量子カゴメ反強磁性体CaCu3(OH)6Cl2・0.6H2O単結晶において強磁場磁化、磁気トルク、熱ホール効果、NMR、中性子散乱実験による物性評価を行なった。その結果、本物質の基底状態がq = 0(negative chirality)の長距離磁気秩序であることを実験的に確立した。一方、磁気転移点より高温ではスピン液体に関係する短距離秩序が発達することを見出し、量子カゴメ反強磁性体における強い量子揺らぎとフラストレーションが特異な磁気状態の形成に深く関わっていることを明らかにした。
量子スピン液体は、高温超伝導やトポロジカル秩序との関係、量子コンピューティングへの応用の可能性などが指摘されており、古くから注目を集めてきた。従って、スピン液体を実験的に実現し、その性質を解明することは基礎のみならず応用上の観点からも重要な課題である。本研究ではCaCu3(OH)6Cl2・0.6H2Oを対象とし、スピン液体実現の可能性を探った。結果として、基底状態はスピン液体ではなかったものの、磁気秩序の近傍にスピン液体との関連が期待される短距離秩序状態が実現することを見出した。本研究の知見を基に更なる物質探索や物性評価を進めることで、スピン液体を実現する物質の開発に繋がると期待される。
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すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 10件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 5件、 招待講演 12件) 備考 (1件)
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