研究課題/領域番号 |
18K03573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 科学教育総合研究所株式会社(研究・開発部) |
研究代表者 |
小田垣 孝 科学教育総合研究所株式会社(研究・開発部), その他部局等, 主任研究員 (90214147)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非平衡系 / 緩和現象 / エイジング / 自由エネルギーランドスケープ描像 / 協調緩和領域 / 待ち時間依存性 / コンパートメントモデル / 断熱伸長過程 / 過冷却液体 / 自由エネルギーランドスケープ / Adam-Gibbs の関係式 / COVID-19 / 自由エネルギーランドスケープ理論 / 待ち時間 / 瞬時減衰定数 / SIQRモデル / エージング / アダム・ギブス理論 / 温度変調応答 / 中間散乱関数 / アミロイドーシス / ガラス転移 / 結晶化時間 / 密度汎関数理論 / 非平衡統計力学 |
研究実績の概要 |
・自由エネルギーランドスケープ描像に基づいて、ガラス形成物質などの非平衡系の緩和現象とエイジングの待ち時間依存性に関する研究を継続して行った。 ・緩和現象の素過程を理解するための基本的領域として協調緩和領域を再定義し(論文発表済み)、分子動力学シミュレーションにより協調緩和領域を決定することに成功した。結果は、国際会議 LAM18 で発表した。 ・温度変化に対する自由エネルギーランドスケープの緩和が、エイジングの原因になることを示した。このエイジングは、温度上昇時と温度下降時でことなった特徴を示し、ランドスケープのバリアーの分布から生じるエイジングと、エイジングの待ち時間依存性において決定的に異なっていることを示した。結果をLAM18の招待講演として発表し、論文を執筆した。論文は掲載が決定している。 ・本研究で用いられる緩和現象の解析手段は、感染症のコンパートメントモデルの解析法として用いることができ、COVID-19の感染状況の解析を行ってきたが、感染者を未発症者、隔離感染者と無症状感染者に分けた新しいモデルを提案した。この研究により、市中感染者数の動向と感染経路不明者数の変化が推定できることを示した。結果を研究会で発表し、執筆した論文の掲載が決定している。 ・最近、典型的なガラス形成物質であるゴムの断熱伸長過程の初期過程で、温度が下がることが発見された。この異常な温度降下現象を説明する物理モデルを提案し、論文を執筆した。論文は掲載決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画した「協調緩和領域の物理的定義の明確化」および「エイジングに対する自由エネルギーランドスケープの緩和の効果の解明」について明確な結果を得た。また、コロナで遅れていた国際会議での発表も、今年度のLAM18で行うことができ、来年度の国際会議9IDMRCSで招待講演が決まっており、論文執筆を含め情報発信に関しても当初の目標を達成している。また、エイジングに関しては、新たな課題が明確になり、研究が進められている。 さらに、一連の研究で用いた手法を援用して、コロナ感染症のモデルの構築と解析ができたことは計画以上の進展である。また、研究期間延長中に発見されたゴムの異常な熱弾性効果に関する研究についても成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの一連の研究により、自由エネルギーランドスケープ理論が、非平衡系のあらゆる現象を説明できる物理的描像であることが示された。今後の課題は、実験データの解析ができるように、実在系の自由エネルギーランドスケープを構築する方法を確立することが課題となる。また、これまで「トリック」として導入され、さらにノーベル賞も与えられたレプリカ法の物理的根拠も自由エネルギーランドスケープ理論から与えられることが期待できる。
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