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流体力学に関する誤情報の拡散への科学的・心理的・社会的原因の解明とその拡散の防止

研究課題

研究課題/領域番号 18K03956
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分19010:流体工学関連
研究機関神奈川工科大学

研究代表者

石綿 良三  神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00159790)

研究分担者 田辺 基子  神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10460255)
神谷 克政  神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60436243)
根本 光正  神奈川工科大学, 工学部, 助教 (90085134)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
研究課題ステータス 交付 (2019年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード流体力学 / 誤認識 / 科学教育 / ベルヌーイの定理 / 科学動画 / 誤情報の拡散
研究実績の概要

多くの科学入門書、テレビ番組、インターネット情報などで流体力学現象の原理の誤認識が多く見られる。誤認識の拡散実態と拡散メカニズムを調査研究し、拡散防止策の提言を進めた。特に、拡散メカニズムには科学的要因だけではなく、著者や読者の理解とその心理、社会的背景等まで踏む必要があり、その追及を行った。
理科教員、科学館スタッフ、科学ボランティア、大学・高専教員を対象に、流体力学に関する原理の把握実態、原理を知ることへの意識、誤情報の実態の理解などを知るためにアンケート調査を行った。さらに、教員や科学館スタッフへの研修会を3回実施し、直接ヒアリングをする機会を設けた。その結果、①研修会に参加した教員や科学ボランティアは向上心、知的好奇心が非常に強い、②流体力学に関する知識は十分とはいえず、大学の専門基礎教育レベル(工学部機械系、航空系など)の教育は受けていない人が多い、③流体力学の基礎が不十分なので、専門的な情報を提示しても誤認識する可能性がある、④「流れの速い所ほど圧力が低くなる」ということがベルヌーイの定理だと認識している人が一定層いる、ということが浮き彫りになった。そのため、情報提供を行う流体力学の専門家は基本となる前提条件や基本原理から始めて相手に提供する必要があることがわかった。
小学校5年理科の教科書・参考書で「曲がる川では外側が速い」と記述されていることについても調査を進めた。実際の川では、外側が速いか、遅いかは一概にはいえない。しかし、内側に堆積している川では外側で速くなることが多く、教科書の記述に合うともいえる。だが、曲がることに外側を速くする効果があると認識させてしまうことは問題であり、大学で習う流体力学とは矛盾することになる。また、さまざまな参考書、動画などは教科書に合う題材ばかりがエビデンスとして表に出ることも事実を歪めてしまう可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

科学入門における誤情報については10年以上の調査・分析実績がある。誤認識の拡散実態の大きな傾向は捉えられているので、新規出版図書の傾向を調査し、その傾向は大きくはずれていないことが確認できた。ただし、対象者が若年層にシフトするという傾向はここ5年くらい顕著になっている。
理科教員、科学ボランティア、科学館スタッフ、大学・高専教員への研修会を継続しており(2018年度は6回、2019年度は3回)、理解・知識のレベル、理解している内容、説明されたことをどう理解するのかなどの把握ができた。
日本機械学会を通じて、実験動画公開(楽しい流れの実験教室)や科学イベント(流れのふしぎ展、流れのふしぎ科学教室)を実行し、一般市民から教員までの科学への興味、理解の仕方、科学情報へのニーズなども把握できた。このことは、一般に知識や情報を提供・公開するときにどのように提示していくのがよいか、正しく理解してもらうにはどうすべきかなどの方策の検討に役立てることができる。

今後の研究の推進方策

科学入門書については、この1年に発行されたものを抽出して調査・分析を継続する。それらを過去のデータベースに加えて、全体としての分析を進める。
曲がる川の流れについては、2019年度には厚木市内の河川で実地調査を行ったが、もっと広い範囲で実地調査を計画したい。「曲がり部では外側が速い」ということの普遍性がどの程度かを調べる予定である。
理科教員、科学館スタッフ等への研修会は継続して、関係者の知識・理解レベル、理解の仕方、誤認識の発生する要因などを調べたい。ただし、今年度は新コロナ対応で、集会事業(科学イベント、研修会等)が制限される可能性があり、情勢を見ながら判断したい。
最終年度となるので、これまでの成果を持ち寄り、4名で分析、評価を行い、成果をまとめたい。

報告書

(2件)
  • 2019 実施状況報告書
  • 2018 実施状況報告書

研究成果

(20件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 学会発表 図書

  • [雑誌論文] なぜ間違いは伝達・拡散するのか? 流体力学に関する誤認識の拡散2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 雑誌名

      日本技術史教育学会誌

      巻: Vol.20, No.2 ページ: 3-9

    • NAID

      40021926290

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] なぜ間違いは伝達・拡散するのか? 流体力学に関する誤認識の拡散2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 雑誌名

      日本技術者教育学会誌

      巻: Vol.20, No.2 ページ: 3-9

    • NAID

      40021926290

    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
  • [学会発表] 流体力学に関する誤情報の拡散(著者と読者のそれぞれの認識の差)2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三、根本光正、田辺基子、神谷克政
    • 学会等名
      日本機械学会 東海支部総会講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書 2018 実施状況報告書
  • [学会発表] 曲がる川の流れに関する誤認識の拡散2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三、根本光正、田辺基子、神谷克政
    • 学会等名
      日本機械学会 2019年次大会総会講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 流体力学に関する誤情報の拡散(学校教育と教科書による拡散効果)2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三、根本光正、田辺基子、神谷克政
    • 学会等名
      日本機械学会 技術と社会部門講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 初年次基礎力学のブレンド型授業の設計と実践2019

    • 著者名/発表者名
      神谷克政、石綿良三、根本光正、田辺基子
    • 学会等名
      日本機械学会 技術と社会部門講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 産業・ものづくりをテーマとした総合学習の分析ーデューイ実験学校カリキュラムと現代 日本の技術科教育実践の比較からー2019

    • 著者名/発表者名
      田辺基子
    • 学会等名
      日本機械学会 技術と社会部門講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 流体力学に関する誤情報の拡散(前提条件の理解度による認識の差)2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三、根本光正、田辺基子、神谷克政
    • 学会等名
      日本機械学会 東海支部総会講演会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 広がる川の流れ2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 細くなる川の流れ2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 曲がる川の流れの速さ22019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 曲がる川の二次流れと堆積2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 連続して曲がる川2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 曲がる川の流れの速さ32019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 川の水深と流れの速さ12019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 川の水深と流れの速さ22019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 水槽の波2019

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本機械学会 流体工学部門HP 楽しい流れの実験教室
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 基礎力学のブレンド型授業の実、2019

    • 著者名/発表者名
      神谷克政、石綿良三、根本光正、田辺基子
    • 学会等名
      私情協教育イノベーション大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] なぜ間違いは伝達するのか?流体力学に関する誤認識の拡散2018

    • 著者名/発表者名
      石綿良三
    • 学会等名
      日本技術史教育学会 総会講演会
    • 関連する報告書
      2018 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 理科実験大百科第19集2019

    • 著者名/発表者名
      少年写真新聞社編(共著、石綿ほか多数)
    • 総ページ数
      112
    • 出版者
      少年写真新聞社
    • ISBN
      9784879816610
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書 2018 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2018-04-23   更新日: 2021-01-27  

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