研究課題/領域番号 |
18K04221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
宮里 義彦 統計数理研究所, 運営企画本部, 特任教授 (30174155)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 制御理論 / 適応学習制御 / 非線形制御 |
研究実績の概要 |
本研究では異なる構造を有する部分システムから構成される複雑大規模系に対して,ネットワーク環境下における通信の様々な制約を考慮しつつ,全体的あるいは部分的な情報のフィードバックで全システムを統合化し協調的な動作を実現する適応型協調制御方式の開発を行う.特にあらかじめ設定された制御目的と各部分システムの役割分担に固執せず,適宜,全体の目的達成のために個々の役割分担をも適応的に再調整する機能を有する(創発を含む)高次の適応型システムの構築を考えている.この研究の遂行により制御理論,適応学習制御,知的制御,知識科学の従来の枠組みを拡張するだけでなく,大規模で複雑な混合システムの創発を含む協調制御の実現という観点から,関連分野を統合する新たな研究領域の創成とその理論体系・基礎原理の整備も視野に含めている. 今年度も力学系を構成要素として含む大規模系(多体系)に対して,ネットワークグラフを用いて表される相互の通信制約を考慮して,特定の物体に対して自立的に合意形成制御を実現する非線形適応H∞制御方式の構築を行った.システムの特性や適応機構の不確定性,および相互情報の不完全な伝達などを,非線形H∞制御問題の外乱として定式化し,適応制御と非線形制御により安定性を確保しつつ,制御システム全体の性能を厳密に指定できる設計論の開発を行った. 特に内部モデル原理に基づくサーボ制御方式の適用と,強正実有理関数の相対次数の自由度に着目することで,次数に依存せずまた相対次数の不確定性にも対処可能な適応型協調制御方式が実現できる見通しが得られ,次年度にかけてこの制御系の精緻な構成方法を開発する手がかりとなった.これらの制御方式の原型については,所属学会の研究会における特別講演でこれまでの研究成果の振り返りとして発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特定の線形系に対する合意形成制御から研究を開始し,その後,漸近安定性を達成する手法の開発や,無限次元のモードを有する双曲型分布定数系の適応的な合意形成制御方式の開発,さらに入力非線形特性が存在する場合の対処方法の開発など,制御手法について対象についても機能や適用範囲を広げるだけでなく,通信構造が無向グラフに加えて有向グラフで規定される場合の設計法についても基本的な結果を得て,それぞれについて新たな制御方式を開発している.
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に様々な対象についてフォーメーション制御やコンセンサス制御に代表されるマルチエージェントシステムの制御方式を開発しその動作を解析するとともに,有向グラフ上の合意形成制御方式の拡張,無限次元系や一般線形系,離散事象システム,及びそれらが混在する場合への拡張についても考察の対象を広げて,創発を含む調和行動実現のための制御原理を構築する研究を継続する.
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