研究課題/領域番号 |
18K04544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕久 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (20183006)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 春日大社 / 出雲大社 / 伊勢神宮 / 吉備津神社 / 社家町 / 門前町 / 社人屋敷 / 備前吉備津彦神社 / 備中吉備津神社 / 備後吉備津神社 / 祢宜 / 藤間家住宅 / 居住形態 / 窪八幡神社 / 領域構造 / 町並景観 / 社家住宅 / 杵築 / 中近世 / 空間構造 |
研究実績の概要 |
本年度もコロナ感染の拡大によって、現地調査が可能な期間が限定されていたが、まず、昨年度調査した備後吉備津神社(広島県福山市新市)において、中世末から近世初の社家屋敷分布が判明する「境内古図」の原史料を写真撮影して細部を確認した。あわせて、神社に所蔵される慶安5年(1652)「備後一宮御供之帳」を写真撮影の上解読し、内容を分析した。その結果、近世初の社家屋敷の役職に応じた除地面積の設定と中世末段階の屋敷規模の推定できた。とくに門前の町(市)場社家の存在と職商人・芸能民であった社人屋敷の分布と規模、対比的な谷戸の有力な社家屋敷の分布など、中世末から近世初に大きく変化した社人屋敷の実態が明らかになったことが注目される。以上の研究成果は、「備後国一宮吉備津神社における中近世社家屋敷の集住形態に関する考察 -慶安5年(1652)『備後国一宮御供之帳』に記された社人屋敷について-」と題して、日本建築学会関東支部研究報告において発表した。 また、京都の社家町として下鴨神社、石清水八幡宮、北野天満宮について現地でマッピング調査を実施した。いずれも社家の多くが廃絶していたが、絵図史料の社家屋敷を比定、推定することが可能だった。 さらに、出雲大社の社人屋敷については、昨年度の研究成果を「中世末から近世初における出雲大社門前町・杵築の空間構成と屋敷形態に関する考察」と題して、日本建築学会計画系論文集に投稿、9月号に掲載された。同時に、大学院生に協力を依頼して、杵築の悉皆的なマッピング調査を実施した。なお、周辺部の伝統的建造物群保存地区である所子集落(鳥取県米子市)と比較し、農家型の社家住宅の原形を理解した。 最後に、島根県立図書館(松江市)に所蔵される、明治期の社家屋敷の町並を描いた「出雲大社明細書官幣大社出雲大社乙図」の存在が判明したので現地で写真撮影した。今年度の最終的な分析に利用したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年間に亘るコロナ禍によって現地調査が滞ったが、春日大社、出雲大社、備後国一宮吉備津神社において、研究を進めるために重要な一次史料の蒐集ができたことで、『日本建築学会計画系論文集』に2編、『関東支部研究報告』に6編の研究を発表、掲載されたことから、春日大社社家町の旧祢宜藤間家住宅の実測調査からスタートした本研究は、出雲大社、伊勢神宮、吉備津神社、北野天満宮などとの比較を通じて、中世末から近世初の多様な社人屋敷の居住実態が具体的に解明できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
3年間に亘るコロナ禍によって延期していた現地調査もほぼ終了しており、今年度は、若干の補足調査によって、調査対象としてきた各神社の社人(社家・神人など)屋敷の居住形態を比較することによって、まとめを実施したい。
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