研究課題
基盤研究(C)
トリコテセンとは、Fusarium属菌等の糸状菌が小麦等へ感染する際生産されるカビ毒の一群である。近年、生合成遺伝子の進化によって生産されたと考えられる進化型トリコテセンや、糖抱合型トリコテセン等、これまで知られてこなかったトリコテセンの報告が相次いでいる。これらは従来法では検出されず、食の安全にとって大きな脅威となりうる。そこで本研究では、食に混入する恐れのあるトリコテセン類を包括的にデータベース化したMS/MSライブラリーを作成し、食の安全検査体制を構築した。その結果、毒性が強く日本での汚染も頻繁に見られるT-2 toxin等の新規類縁体を複数作成したほか、新規の糖抱合体も複数見いだした。
トリコテセン類は、農作物を汚染するカビ毒として食の安全を脅かす存在である。しかしこれまで、トリコテセンは十分な防除がなされてきたとは言えない状況であった。近年、新たな進化型トリコテセンや抱合型トリコテセンの存在が次々と明らかになってきており、その生合成経路や進化を解明することは学術的意義が高いと言える。また、これらの新興トリコテセンの同定システムの構築は、トリコテセン防除において極めて高い社会的意義を持つ。本研究では、複数の新規トリコテセンを生産、同定することができ、それらをMS/MSライブラリーに組み込み、その毒性の検証にも成功した。今後、さらにこれらのリスクを検証することが重要となろう。
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マイコトキシン
巻: 69 号: 1 ページ: 15-17
10.2520/myco.69-1-2
130007609522
J. Nat. Prod.
巻: 印刷中 号: 4 ページ: 1041-1044
10.1021/acs.jnatprod.7b00398