研究課題
基盤研究(C)
アルツハイマー病(AD)の発症原因として、脳内にアミロイドβペプチド(Aβ)やタウがアミロイドを形成して蓄積することが挙げられる。我々はこれまで、光照射によって活性化される光酸素化触媒を開発し、アミロイドに対する選択的な酸素原子付加(酸素化)による凝集阻害と除去の可能性を見出してきた。本研究ではそのメカニズム解明を目的として研究を遂行し、光酸素化によってアミロイドの構造・性質が変容する可能性を見出した。また光酸素化された凝集Aβの分解・除去機構に、脳内免疫担当細胞であるミクログリアが関与することも明らかにし、光酸素化によってミクログリア内リソソーム分解酵素による分解が亢進する可能性を示した。
高齢者認知症の多くを占めるADは、大きな社会問題となっている。脳内でのアミロイドの蓄積がAD発症の原因であることから、アミロイド形成を抑制し、既に蓄積したアミロイドを効率よく除去することがAD根本治療戦略として考えられているが、未だ根本治療法確立には至っていない。本研究成果は、凝集Aβやタウに対する光酸素化法の新規AD根本治療戦略としての可能性を示した点で意義がある。また光酸素化触媒はアミロイドに共通の立体構造に対して反応し活性化することから、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの、AD以外のアミロイド形成・蓄積を原因とする多くの神経変性疾患に対しても有用である可能性が期待される。
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