研究課題
基盤研究(C)
ミクログリアは死細胞を貪食し恒常性維持に働くが、炎症などの刺激により過剰な貪食能を発揮して神経細胞死を引き起こし多くの神経疾患の病態形成に関与する。本研究では、炎症性ミクログリアの貪食能にP2Y2受容体が関与すること、炎症刺激によりP2Y2受容体の細胞表面へのトラフィッキングが誘導されること、さらに、P2Y2受容体の活性化は下流シグナルPYK2を介して炎症性貪食受容体Axlの発現亢進が引き起こされることを明らかにした。また、P2Y2受容体は炎症性メディエーターの産生促進や抗炎症性サイトカインIL-10の産生抑制にも関与し、炎症や貪食の制御に中心的役割を果たす可能性が示された。
超高齢化に伴い急増が懸念されるアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、脳梗塞、自閉症や統合失調症に至るほとんどすべての精神神経疾患においてミクログリアの関与が示唆されている。炎症により過剰に活性化されたミクログリアは生理的な貪食とは異なる貪食能を獲得し、病態形成に関与すると考えられる。本研究成果は、これまで不明であった炎症性貪食能獲得のメカニズムを明らかにするものであり、炎症制御機構の理解において大きな学術的意義を持つ。また、今回明らかにしたP2Y2受容体はアルツハイマー病や自閉症など炎症や貪食が関わる神経疾患の新たな治療標的となる可能性があり今後の展開が期待される。
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