研究課題
基盤研究(C)
本研究では、血圧調節機構であるレニン・アンジオテンシン系(RAS)において昇圧ペプチドとして作用するangiotensin II(Ang II)に注目し、血行性癌転移モデルマウスにおける転移調節メカニズムについて検討した。Ang Ⅱは、肺血管内皮細胞において細胞接着因子の発現を増加させることで、内皮細胞と癌細胞の接着を増加させ、メラノーマ細胞の血行性肺転移を促進させることが明らかになった。また、Ang Ⅱはがん細胞周辺の線維芽細胞を介して乳がん細胞の増殖や転移を促進することが示唆された。
本邦の高血圧患者は、厚生労働省による平成26年度調査報告では約1100万人とされ、今後も患者数の増加が予測される。癌患者における最も多い併発症は高血圧症であることからも、本研究による癌転移抑制療法の適応範囲は広く、高額負担なく、安全な治療法を行うことができることは医療費削減の観点からも非常に有益である。
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