研究課題
基盤研究(C)
本研究では免疫系特異的オートファジー制御因子Rufy4の病理学的および生理学的機能の解明を目的とし、Rufy4を恒常的に発現する好中球の細胞死NETosisへの影響について調べた。野生型およびRufy4欠損マウスの腹腔洗浄液から単離した好中球をPMAにより刺激しNETosisを誘導したところ、野生型好中球ではクロマチンDNAを大きく放出する典型的なNETosisが認められたのに対し、Rufy4欠損マウス由来の好中球では細胞死は誘導されるものの、形成されるNETsは顕著に縮小していた。以上の結果はRufy4がNETosisの進行やNETsの形成において重要な機能を持っていることを示唆している。
好中球は感染初期における生体防御を担っており、感染の負荷が高い場合にはNETosisとよばれる細胞死を誘導し、分泌顆粒内の消化酵素とともに自らのクロマチンDNAを放出して細菌を物理的に捕捉殺菌していることが知られているが、その分子メカニズムはまだ不明な点が多い。本研究において免疫系特異的オートファジー制御因子であるRufy4がNETosisの進行に重要な機能を持っていることが示唆された。NETosisは自己免疫疾患や血管炎、さらにはCOPDやCOVID-19など炎症性肺疾患への関与も指摘されており、本研究はこれら難治性炎症疾患の病態解明や治療法開発に繋がることが期待される。
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