研究課題
基盤研究(C)
がん抗原特異的なT細胞受容体(TCR)遺伝子を、ゲノム編集とカセット交換法を用いて、ヒトiPS細胞の内在性TCR遺伝子座へノックインし、T細胞へ分化誘導したところ、がん抗原特異的に高い細胞傷害活性を示すことが確認された。さらに、ヒトへの外挿性が高い非ヒト霊長類のがんモデルを作出するために、4つのがん関連遺伝子を薬剤誘導性に発現するカニクイザルの作製を行い、遺伝子が導入された産仔を得ることができた。併行して、サルの腫瘍細胞を移植し、形成された腫瘍に浸潤したT細胞からTCR遺伝子を単離し、iPS細胞から再生したT細胞に導入したところ、出現頻度の高いTCRが腫瘍細胞を殺傷できることを見出した。
本研究で開発した方法により、ランダムな遺伝子挿入によるがん化のない、安全で細胞傷害活性の高いT細胞を効率よく作製することが可能となった。また腫瘍に浸潤するT細胞から出現頻度の高いTCR遺伝子を単離し、カセット交換法によりiPS細胞で次々に遺伝子交換することが可能となり、細胞製剤として早期の治療応用も期待できる。一方、がん免疫療法の前臨床試験において、マウスで得られた知見がヒトに外挿できない例が知られている。そのためヒトへの外挿性が高い霊長類を用いたがん研究の推進が必要不可欠であり、本研究で作製された遺伝子導入サルで薬剤誘導性に腫瘍が形成されれば、世界初の非ヒト霊長類のがんモデルとなる。
すべて 2022 2021 2020 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (4件) 産業財産権 (2件)
Molecular Therapy - Oncolytics
巻: 24 ページ: 77-86
10.1016/j.omto.2021.12.003
120007182844
Molecular Therapy - Methods & Clinical Development
巻: 19 ページ: 250-260
10.1016/j.omtm.2020.09.011
120007169387
Scientific Reports
巻: 10 号: 1 ページ: 8414-8414
10.1038/s41598-020-65488-x
120006862372
iScience
巻: 23 号: 4 ページ: 100998-100998
10.1016/j.isci.2020.100998
120006826710
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 526 号: 1 ページ: 128-134
10.1016/j.bbrc.2020.03.043
120006839258
Genes & Development
巻: 32 号: 2 ページ: 112-126
10.1101/gad.309575.117
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqbioch1/
https://www.shiga-med.ac.jp/research-and-collaboration/priority-projects-and-research-results/latest-research-papers#20220225
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqbioch1/public_html/publish.html