研究課題
基盤研究(C)
Metは受容体型チロシンキナーゼの1つであり、様々ながんで異常な活性化がみられる。Metは特に浸潤転移、再発、治療抵抗性などがん悪性化に深く関わる。我々は以前、Met遺伝子増幅を持つスキルス胃がんのリン酸化プロテオミクス解析により、機能未知なタンパク質PLEKHA5を同定しスキルス胃がん細胞の増殖、浸潤、転移に関わることを見出した。本研究では、PLEKHA5がMetの下流でリン酸化され、Met依存的なスキルス胃がん細胞の生存能を制御することを明らかにした。従って、PLEKHA5は新規のMet下流シグナル分子であり、スキルス胃がんの新たな治療標的となる可能性が示唆された。
Metは様々ながんで異常がみられるがん原遺伝子であり、現在多くのMet阻害剤が開発されている。しかし薬剤耐性が問題になっており、Metの下流で働く新たな治療標的の同定は重要な課題である。また、スキルス胃がんは日本に多い難治がんであり、特に腹腔内に種を播くように転移する腹膜播種を起こすことが、治療を困難にしている。本研究では、Metの新規下流分子としてPLEKHA5という分子を同定し、PLEKHA5がMet異常を持つスキルス胃がんの悪性化に必要であることを見出した。従って、本研究の成果は、スキルス胃がん含むMet異常を持つ様々ながんの新たな治療法の開発につながるものと期待される。
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