研究課題
基盤研究(C)
食細胞は、遊走、貪食、殺菌、顆粒放出の機能を持ち生体を防御する。これらの細胞動態を連続的に測定することで、本来の細胞機能評価につながる。本研究では、ライブイメージング技術を応用し生体内の細胞環境やシグナルの時間的変化を再現し、患者好中球の速度、方向性、加速度、移動距離を測定し、遊走能を検討した。細胞骨格の異常をきたすWiscott‐Aldrich症候群では、速度や移動距離が低下した。慢性肉芽腫症では、移動距離や速度は正常だったが、細胞の移動方向が直線的ではなかった。本研究では、好中球の遊走過程を画像解析することで、X連鎖慢性肉芽腫症の好中球では遊走能の部分的な機能異常が明らかとなった。
本研究では、微小空間に化学物質の安定的な濃度勾配を形成し、化学物質に対する細胞の反応をリアルタイムに観察可能なライブイメージング技術を用いて、細胞動態を検討した。慢性肉芽腫症は、食細胞の殺菌能が低下する原発性免疫不全症であるが、本疾患でみられる易感染性や過剰炎症などの機序について、不明な点が残されている。従来のボイデンチャンバー法では、遊走した細胞数を測定するだけの評価であった。しかし、本研究では、遊走の過程を画像的に解析することで、本疾患の好中球は様々に蛇行を繰り返して進むことが明らかになった。本解析は、他の食細胞機能異常症にも応用できる可能性があり、病態解明へ貢献し得ると考える。
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