研究課題
基盤研究(C)
生理的状態では、心臓の微小環境を揺るがす様々なストレスに対して、可塑性をもった心臓マクロファージが組織恒常性を維持させているが、maladaptiveな免疫応答は組織リモデリングを引き起こす。老化による、内的または外的ストレスが心臓マクロファージの心保護作用の閾値を超えると、心臓マクロファージのロバストネス自体に悪影響を与え、その後の不安定化に対する忍容性が低下すると予想した。そこで本研究計画では、加齢による心臓マクロファージの質的な変化が心臓の恒常性維持を破綻させ、老化に伴う心機能低下を引き起こすのではないか、という仮説を立てて研究を行った。
高齢化に伴って心不全の罹患率は増加し、医療経済を逼迫させている。一度心不全を発症し入院すると、入退院を繰り返し、最終的に心不全悪液質の状態となることである。いくつかの神経内分泌物質を対象とした薬物治療は収縮障害型心不全の予後を改善するが、いずれも対症療法に過ぎない。特に高齢者に多い拡張障害を主体とする心不全の治療法は乏しく、その病態すら分かっていない。したがって、現在、心不全の予後は不良であり、不治である。今回、心臓間質の免疫細胞の、加齢による細胞内因的な質的変化が心機能悪化を引き起こするという知見が得られ、新たな心不全の治療標的の同定に繋がると考えられた。
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