研究課題
基盤研究(C)
我々は循環器疾患で緊急入院を要した全国1,067,171例を対象とし、疫学的アプローチで奔放の気温・大気汚染物質が与える心血管病リスクおよびそのかかる医療費を調査した。気温が低い、気温の高低差が高いと循環器疾患が発症した。65歳以上の高齢者は、気温・大気汚染物質の影響が鋭敏であった。 一人あたりの循環器疾患の医療費が最も高額なのは65-74歳であった。若年層と比し90歳以上で明らかに医療費が低かった。90歳 以上の入院滞在日が若年に比し有意に長期入院になっていた。
温度変化を少なくすること、大気汚染物質を少なくすることが、循環器疾患のリスクをさらに軽減できることを明らかにした。こればかりでなく、特に高齢者では環境の変化に鋭敏でありより注意が必要であることを明らかにした。また、大気汚染物質(PM2.5)が基準値 以下でもPM2.5と循環器疾患と関係があり、PM2.5はさらに低くする努力が必要である。高齢者は病院収入が低くなるにも関わらず長期滞在してしまう傾向を示した。これは、病院経営にとって、長期滞在する高齢者より若年の循環器疾患を中心に医療を行う方が利潤を出せる可能性があり、超高齢化社会に向けた本邦の医療のゆく方向とは異なる可能性があることがわかった。
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