研究課題
基盤研究(C)
腎臓が行う濾過システムの中心となる糸球体毛細血管は2つの細胞により取り囲まれている。一つは足細胞で、この細胞はスリット膜という特殊なフィルターを形成して血液の濾過を行う。もう一つはメサンギウム細胞で、毛細血管の径を調整し、血流量を調整する。それぞれの細胞に面した血管内皮にどのような違いがあるかは明らかでない。本研究により、糸球体毛細血管は2つの大きなドメイン構造を持ち、取り囲む細胞の種類によって異なる分子を発現していることが分かった。この成果により、一つの毛細血管を構成する内皮細胞は一様ではなく、周囲の環境に応じて様々に性質を変化させ、組織特異的な機能に関わる事実を明らかにすることができた。
肺の毛細血管や腎臓の糸球体毛細血管はそれぞれ、呼吸と血液の濾過による尿生成という生体にとって極めて重要な働きをしている。毛細血管を構成する内皮細胞は一様な構造をしているように考えられているが、本研究により、内皮細胞は血管を取り巻く細胞や細胞外基質の状況に対応して形態や発現する分子を変化させる証拠を見いだした。この研究により、毛細血管は周囲を取り巻く環境に応じて性質を変化させることができる可塑性に富む構造であることが分かった。この血管内皮細胞の性質を分子レベルで明らかにすることにより、それぞれの組織において循環系が果たす役割をさらに詳細に理解することができるようになる
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