研究課題
基盤研究(C)
腎臓の線維芽細胞が活性化し筋線維芽細胞になる際にどのような分子が細胞膜に集積し機能するかを研究テーマとした。腎臓線維芽細胞をTGFβ1で刺激後に細胞膜表面分子をビオチン標識法で回収し高感度銀染色を行い、刺激により明らかに増加している分子をLC-MSで解析したところMYH-9を同定した。特異的阻害剤およびノックダウンによる機能解析を行ったところSmad2/3の核集積およびaSMAの増加が阻害群で鈍化していた。MYH-9は腎臓線維化に重要な分子であり、細胞活性化に際し細胞膜および核に集積する分子であることが分かった。
本邦では慢性腎臓病は8人に1人が罹患しているとされ国民的疾患概念である。この進行を緩やかにし腎不全の発症を抑制することは今後の医療の最も重要な課題の一つと言える。そのためには原因疾患は何であれ共通する病態生理である腎臓線維化を治療できるようにすることが必要となる。腎臓線維化がどのような機序で進展してゆくのかを解明することが重要な一歩になる。今回腎臓の線維芽細胞が活性化する際にどのような分子が細胞膜を貫通する形で集積するかを分子生物学的手法を用いて研究しMYH-9という分子を同定し機能を解析しその重要性を細胞生物学的に示すことが出来た。今後のこの領域の研究の方向性に貢献しうるものと考える。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Proceedings of the National Academy of Sciences
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