研究課題
基盤研究(C)
IgA腎症の病因に粘膜免疫応答異常の関与が考えられているが、糖鎖異常IgA1産生に関わる責任細胞の所在は同定されていない。本研究では、IgA腎症自然発症モデルを用いて、IgA腎症の病態におけるkey moleculeである糖鎖異常IgA産生細胞が、主にnasopharynx-associated lymphoid tissue (NALT)で感作され分化することが明らかとなった。また、ホーミングレセプターの解析より、NALTで感作された糖鎖異常IgA産生細胞が骨髄にホーミングし、長期生存型形質細胞に分化することが示唆された。
IgA腎症は世界で最も頻度の高い原発性糸球体腎炎であり、腎糸球体に糖鎖修飾異常を伴ったIgA(糖鎖異常IgA)の沈着を特徴とする。予後不良な疾患であり、指定難病に認定されている。現在、科学的根拠がないまま扁桃摘出あるいは腸管選択的作用型ステロイドを用いた治験などが進行している。本研究成果により、科学的根拠をもった適切な治療ガイドを示すことが可能である。IgA腎症の予後を改善することで透析導入を抑制し、医療費の削減を図ることが可能であると考える。
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