研究課題
基盤研究(C)
本研究は、近年発見された新しい細胞死であるフェロトーシスに対する鉄の影響を分子生物学的に解明し、効率的にフェロトーシスを惹起させる方法を明らかにする目的で行った。肝癌、血液腫瘍、膵癌など多種類の腫瘍細胞株でフェロトーシス誘導物質erastinによるフェロトーシスが確認され、その細胞増殖抑制効果は鉄負荷で増強されうることが示され、特に、トランスフェリンと結合していない鉄である非トランスフェリン結合鉄(NTBI)やその酸化能labile plasma iron(LPI)が腫瘍細胞に効率的に増殖抑制をもたらす事も示唆された。全体として、鉄の調節による効率的フェロトーシス誘導の可能性を実験的に示した。
本研究では、肝癌、血液腫瘍、膵癌など様々な腫瘍細胞において、新しい細胞死フェロトーシスが起こることが確認され、さらに誘導物質に少量の鉄負荷を行うと、より効率的に起こることが示された。加えて、トランスフェリンと結合していない非トランスフェリン結合鉄(NTBI)やNTBIによる酸化能labile plasma iron (LPI)が特に効率的に腫瘍細胞にフェロトーシスを惹起する可能性も見出し、指標としての意義も示唆された。各種難治性腫瘍に対する既存薬物とは全く異なる新規の治療アプローチに繋がる可能性が示され、今後の基礎および臨床研究にも寄与できる基盤となる意義深い結果を得られたと考えている。
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