研究課題
基盤研究(C)
本研究では細胞分裂チェックポイント分子BUB1, SGO1の進行期の骨髄腫(MM)、B細胞性リンパ腫(BCL)の患者由来細胞における過剰発現を見出した。MM細胞やBCL細胞においてBUB1発現抑制によって染色体分配エラーが減少し、付加的染色体異常が減少した。また、BUB1発現抑制は微小管阻害剤に対する感受性を亢進し、コロニー形成能能の低下をもたらした。一方、SGO1についてはこうした機能的意義は明確ではなかった。以上より、BUB1の異常な発現亢進はMMやBCLにおいて染色体不安定性を亢進し、染色体進展を促進すること、多段階発がん過程の抑止を目指すうえでの治療標的と成り得ることが示された。
染色体不安定性に伴う染色体異常進展は、がんの病態悪化と治療抵抗性獲得を促進するダイナミックなメカニズムであるが、その制御戦略は未開発である。本研究では細胞分裂チェックポイント分子であり、本来、染色体分配異常を監視し、細胞分裂異常による染色体異常の獲得を抑止すべきBUB1やSGO1が骨髄腫細胞やB細胞性リンパ腫細胞で過剰発現しており、その発現レベルは病態悪化を示唆するバイオマーカーとして活用可能であることを見出した。さらに機能的解析によって、BUB1が多段階発がん過程の抑止を目指すうえでの創薬ターゲットとしての妥当性が示された点で、今後の応用が期待される研究成果と考える。
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Cancers
巻: 12 号: 8 ページ: 2206-2206
10.3390/cancers12082206