研究課題
基盤研究(C)
口唇口蓋裂患者が正常な社会生活を営むためには、出生直後から成人に達するまでの間に多岐にわたる治療が必要である。本研究の最終的な目標は、自家骨以外の骨再生材料を用いた顎裂部骨移植術が、適切な骨架橋を獲得し、その後の歯科矯正治療を問題なく実施して唇顎口蓋裂患児が正常な咬合関係を得ることである。そのために、早急に臨床現場で求められる予知性の高い骨再生材料の種類、使用方法を臨床的に解明することが重要で、その評価を確立するためにCBCTを使用した新たな術後の経時的評価を行なう方法を確立することを目的とした。評価方法は、画像解析ソフト(i-View software)を用いて、環椎中央、両側眼窩点、健側フランフルト平面を通る基準平面を設定し計測することで、顎裂形態や骨架橋幅、高さなど詳細な検討が可能であった。今後は、各施設の一般的な三次元的評価方法として普及することを期待する。人工骨再生材料の検討では、研究分担者の岐部らは、OCP/Collagen複合体およびCarbonate Apatiteによる骨造成で良好な骨形成が得られたと報告している。OCP/Collagen複合体のよる骨移植術では顎裂部に適切な骨架橋の造成を認め、同部位に歯の移動による矯正治療は可能であったと報告し、Carbonate Apatiteによる骨造成では、後続永久歯の自然萌出が観察され、顎裂の治療において自家骨に代わる有効な選択肢となる可能性が示唆されたと述べている。したがって、顎裂部骨移植術にOCP/Collagen複合体およびCarbonate Apatiteは、顎裂部骨移植術で自家骨の代用として骨造成ならびにその後の矯正治療に有用であることが示唆された。しかし、現時点で、まだ保険適応使用が承認されていないため、早期に承認され、更なる研究成果が待たれるところである。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 3件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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