研究課題
基盤研究(C)
本研究は、早期離職をした新人看護師が再就職した医療施設で職業継続できている実態を、職業選択とその後の職場適応およびキャリア支援の点から明らかにするとともに、看護基礎教育から継続教育へのシームレスな教育支援のモデルを作成し、運用に向けた準備をすすめることである。2023年度は看護職の無料職業紹介事業を行っている都道府県ナースセンター担当者に対してヒアリング調査を継続して実施した。早期離職後、再就職を希望してナースセンターを利用する新人看護師の相談や紹介を行っていることから、早期離職後に再就職を希望する新人看護師の相談状況、助言・支援の詳細、新型コロナウイルス感染症による影響について調査を実施した。2県3名の協力が得られた。早期離職後、再就職を希望する新人看護師の状況では、「疎外感があり居場所がない」、「体調不良やメンタルヘルスの不調」、「職場イメージと実際とのギャップ」といった状況が語られた。コロナ禍で人員削減の影響を受けた事例も語られた。再就職先の決定については、職場見学をして面談を実施するなど、職務の状況を理解できるような支援を行っていると語られた。これまでの質問紙調査、インタビュー調査、ヒアリング調査を総括した結果、職業継続に関係している要因は、「特性に応じた業務調整などによる過重でない仕事」「健康面を考慮した勤務形態による良好なワークライフバランス」「入職前に提供された情報からの病院選択」「個人の成長スピードに合わせた具体的な教育指導や助言」「多様性を受け入れる寛容な雰囲気」「多様なスタッフとの良好な人間関係」「モデルとなるスタッフの存在」「面談の機会」「自己の役割と成長の実感」が考えられた。看護基礎教育からのシームレスな支援という点では、入職前から学生が勤務を具体的にイメージし、多様な職場から自分の特性を考慮して選択できるよう支援することの重要性が示された。
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