現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、平成30(2018)年度~平成32(2020)年度で行う計画であった。しかし、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響もあり、2020年度以降、研究は全く進まなかった。 2023年度の調査対象者は14名で、平均年齢は63.4±19.4歳、全員が排泄行為に全介助を要す者であった。主な疾患は筋萎縮性側索硬化症や脳性麻痺で、人工呼吸器を装着している者が6名いた。強化前に速乾性手指消毒薬を使用していた対象者は3名で、自立度ランクB群1名、C群2名だった。流水による手洗いの実施はB群5名、平均頻度11.4±16.0回/週、C群2名、平均頻度0.4±0.9回/週だった。強化中は全員が速乾性手指消毒薬を使用し、その頻度は、0.7±1.4回/週から16.1±9.5回/週と有意に増加した。入浴や石けん手洗い等による回数は、強化前後で変化しなかった。対象者の手指から検出された菌は、主にStaphylococcus epidermidisなどの皮膚常在菌であった。強化前に手指から大腸菌が検出された対象者が1名いたが、強化後には検出されなかった。環境表面では、 MRSAが強化後のみに1名検出された。また、Enterococcus faecalisが対象者2名から検出されたが、1名は強化前のみで、もう1名は強化後のみであった。対象者全員の片手から検出される総菌数の平均は、右手が強化前21,886,225±42,065,216cfu/mL、強化後15,694,330±56,126,754cfu/mL、左手が強化前44,907,629±132,977,637cfu/mL、強化後229,172±579,348cfu/mLといずれも有意に減少した。環境表面では、ベッド柵の総菌数が手指衛生強化後、有意に減少した。しかし、強化後に両手ともに総菌数が増加した対象者が2名いた。
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