研究成果の概要 |
本研究では, 発振器結合系の理論解析において, スペクトル分解における退化周波数を考慮した計算過程を摂動法の一種である平均化法を用いる際に適用した. 本研究で対象とする双安定性を有する非線形発振器の相互結合系においては多数の共存解が存在する. 本研究では導出された近似理論解の安定性を評価してどのような共存解が存在するか調べた. その結果, 複数の解が時空間的に振動エネルギーが移動する波動解に相当することを示した. また, 理論的に導出された波動解は, 回路実験においても観測可能であることを示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
離散的な振動子が多数結合される系は多自由度となり, 自由度の数だけ振動モードが発生し, この振動モードの理解がこのような系の適切な設計に欠かせない. 振動の減衰・復元メカニズムなどに非線形性が関与する場合に, 振動エネルギーが局在化する現象やその応用に関して注目されているが, このような非線形系では単純な振動モードの重ね合わせとして議論できないことが, その適切な活用や設計を妨げる障壁となっている. 本研究で想定した振動モード間の共鳴は, 非線形結合振動子系では自然に起こりうると考えられ, 本研究で用いた解析手法を同様に用いれば, 移動型の振動解や発振パターン解析への波及効果が見込める.
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