研究課題/領域番号 |
18K12716
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 東京都立大学 (2021-2023) 新潟大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
板倉 孝信 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (10755771)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | イギリス / 西洋史 / 政治史 / 財政史 / 財政軍事国家 / 財政硬直化 / パクスブリタニカ / ウィーン体制 / 欧州協調 |
研究成果の概要 |
本研究は、19世紀前半の英国に関する財政史研究と外交史研究が、これまで対照的な英国像を描いてきた点に注目し、平時軍備の視点から両者の架橋を試みた。当時の英国は列強でも突出した経済力を誇ったが、同時に税収の過半を利払に投入する深刻な財政硬直化にも直面していた。そのため、債務不履行の回避を重視する財務側と国際的優位の維持を重視する外務側によって、平時軍備の増減をめぐる綱引が展開された。報告者はこの対立構造を「財政=外交ジレンマ」と呼称し、国内・国際環境による変化がジレンマの強弱に与えた影響を検討した。これを通じて、当時の最強国であった英国が欧州協調を尊重し、列強との全面戦争を回避した背景を探った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は英国の一国史研究であるが、19世紀前半の欧州史研究にも一定の影響を与え得る。当時の英国は大陸諸国と異なり、議会が債務を保証していて債務不履行が困難であり、ナポレオン戦争後の債務残高は英国が突出して高かった。このような財政環境が、英国と大陸諸国の外交政策に与えた影響を検討した研究は見当たらない。そこで報告者は、財政=外交ジレンマの枠組を提起することで、英国の財政・外交史研究に一石を投じた。近代財政国家の成立過程に関する研究は英国以外でも広く行われているが、その後の停滞局面に関する研究は途上にある。しかし本研究の枠組が他国研究にも応用できれば、将来的に多国間比較分析を行うことも期待できる。
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