研究課題
若手研究
鉄系超伝導体の中でも特徴的な電子相図を示すBa1-xKxFe2As2に対して、弾性抵抗率測定と単結晶X線回折実験を行った。弾性抵抗率は、試料に印加した歪みに対する電気抵抗率の応答である。この測定により、電子系の回転対称性の破れ、すなわち電子ネマティック状態を議論する際に重要な物理量であるネマティック感受率が得られる。ネマティック感受率の温度依存性を調べ、電子ネマティック状態が超伝導発現に強く関与していることが分かった。単結晶X線回折からは、何らかの電子秩序形成に起因すると考えられる格子の変調を発見した。この電子秩序と超伝導の関係は、今後明らかにしていく必要がある。
電子が強く相関している系では、制御パラメータを振ることにより様々な秩序相が現れるので、豊かな電子相図が描かれる。それぞれの秩序相の関係性が明らかになれば、どのような状況で面白い物性が現れるのかを知ることができるため、機能性材料の開発につながる可能性もある。本研究では、複雑な電子相図を示す鉄系超伝導体を対象として、超伝導と深い関係があると考えられている秩序相について調べた。これにより、鉄系超伝導体で発現する超伝導に対する理解が深まった。今後、超伝導転移温度の高い超伝導体開発の指針を得ることができれば、応用面でも貢献できると考えられる。
すべて 2020 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Physical. Review. B
巻: 101 号: 3 ページ: 035126-035126
10.1103/physrevb.101.035126
Physical Review B
巻: 101 号: 8 ページ: 085102-085102
10.1103/physrevb.101.085102
Superconductor Science and Technology
巻: 32 号: 6 ページ: 064003-064003
10.1088/1361-6668/ab13f8
巻: 32 号: 9 ページ: 094004-094004
10.1088/1361-6668/ab2b51
巻: 100 号: 23 ページ: 235135-235135
10.1103/physrevb.100.235135
巻: 98 号: 5 ページ: 054511-054511
10.1103/physrevb.98.054511
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 87 号: 7 ページ: 074710-074710
10.7566/jpsj.87.074710
http://buna.phys.sci.osaka-u.ac.jp/topics_j.html