研究課題
若手研究
健康や病気は個人の問題としてとらえられてきた.しかし,個人を取り巻く環境,特に近隣の物的・社会的環境が,人々の健康にさまざまな影響を与えることも明らかにされつつあり, 本研究の成果もそれにあたる.成果は主に, 歩道の整備率や近隣の飲食店数, 道路の傾斜等の建造環境を算出し, うつ病や認知症, 死亡, 虐待などとの関連を示した.まちや地域の環境整備を健康の視点から考える事で, 日本のみならず今後,少子・高齢化が進展する諸外国に対し,その方策を提案,展開する可能性を示した.
日本においても2012 年に厚生労働省が「健康日本21(第二次)」を,2014 年に国土交通省が「健康・医療・福祉のまちづくりの推進ガイドライン」を公表しており,今まさに、都市・地域の在り方と健康への問題提起が強くなされている.低出生率に伴い,総人口が減少する一方,高齢化率は上昇し続けており,「少子・高齢化」は世界に先駆けて我が国が解決すべき重要課題となっている.これらの解決に向けた将来ビジョンとは,都市を軸とした社会経済システムの実現,すなわち〈地域社会の活性化〉であり,〈母子・高齢者の健康に寄与する都市・地域構造の解明〉,さらには持続可能な都市の実現は,人類共通の課題であると言える.
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