研究課題
若手研究
脳で最も重要な素子であるニューロンのほとんどは発生期に神経幹細胞から産生される。神経幹細胞は、発生の初期には自己複製を繰り返してその数を増やすが、あるタイミングでニューロン産生を開始する。この運命転換のタイミングは、その後に産み出されるニューロンの数を制御するため、厳密に制御される必要がある。しかし、その制御メカニズムはこれまで不明であった。本研究では、増殖期からニューロン分化期にかけてHmga2というクロマチン制御因子の発現が上昇することで、神経幹細胞の遺伝子発現パターンを変化させ、運命転換を促すことを明らかにした。
神経幹細胞の増殖期からニューロン分化期への運命転換の異常は、成体脳のニューロンやその他の細胞の数の異常につながる。実際に、この運命転換の異常が自閉症などの神経発達障害の原因の一つであると考えられている。本研究ではこの運命転換のメカニズムとしてHmga2による制御が重要であることを明らかにした。そのため、本研究をもとに神経幹細胞の運命転換のメカニズム、ひいてはヒトの神経発達障害の理解につながると期待される。
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