研究課題
若手研究
ミエリンは神経伝達に重要な役割を果たしており、その評価は脳の病状評価に有用と考えられる。近年MRIによるミエリンイメージングが開発され臨床応用されつつある。特にSynthetic MRIでは一度の撮像で定量値を得ることが可能であり、任意のコントラスト強調画像に加え撮像時間の延長なしにミエリンマップを作成できる。本研究の目的はSynthetic MRIやその他のミエリンイメージングを行い比較することで、非侵襲的な生体のミエリン量の評価に最適な手法を確立することである。加えて、多発性硬化症等の脱髄疾患の診断や他疾患との鑑別、経時評価や治療効果判定を可能とするイメージングバイオマーカーを創出する。
Synthetic MRI(SyMRI)と最新の拡散イメージングを組み合わせた解析で脱髄プラークではミエリンの方が軸索よりも慢性的な障害が強いことが示唆された。また、SyMRIで得られるmyelin volume fraction (SyMRIMVF)と従来法のミエリン評価には強い相関を見出した。加えて、SyMRIによる脳組織容量とミエリン量の推定において造影剤の影響により見かけ上の脳組織容量が変化しミエリンは増加して計測されることを見出した。これらの研究成果から、SyMRIによるミエリンイメージングは非侵襲的な生体内のミエリン量の評価や脱髄疾患における経時的評価に有用であることが示された。
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