研究課題
若手研究
本研究では脳内ヒストンデアセチラーゼ6(HDAC6)の画像化のための、PET用プローブ開発を目的とした。まずこれまでに開発した18F-標識ツバスタチンA類縁体についての評価を実施した。癌細胞を使用した結合性試験や、マウスにおける脳内取り込み試験を行った結果、本化合物は高いHDAC6選択的結合性を示した一方、脳内移行性に乏しいことが明らかとなった。そこで脳移行性の報告されているSW-100をシードとした新規18F-標識体の合成に着手した。ボロン酸前駆体と銅触媒を使用し、目的とする標識中間体が最大60%ほどの18F-化効率で得られることが分かり、現在は自動合成装置による合成最適化を進めている。
加齢に伴い発症率の増加するパーキンソン病などの神経変性疾患は、日本のような超高齢化社会において喫緊の課題であると言えるが、根本的治療法はまだ開発されていない。治療法開発のためにも、正確な鑑別診断技術や治療効果の測定方法の確立が重要である。ヒストンデアセチラーゼ6(HDAC6)は細胞質に存在するタンパク質の脱アセチル化を担う酵素であるが、神経変性疾患の脳内において蓄積するタンパク質病変の形成に関与することが明らかとなっており、神経変性疾患の治療標的として注目されている。本研究が開発を目指すHDAC6のPETイメージング技術は、このHDAC6標的治療薬の開発を促進することが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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