研究課題
若手研究
LIPUS治療を行ったdb/dbマウスでは、左室拡張機能の低下及び運動耐容能の低下が抑制された。また、心筋の肥大・線維化が抑制され、心筋におけるCa2+handling関連蛋白の活性化、およびそれに伴う心筋組織レベルでの弛緩特性の改善が認められた。さらに、Western-blottingによる蛋白発現解析では、内皮型NO合成酵素(eNOS)のリン酸化が有意に増加し、及びその下流分子である可溶性グアニル酸シクラーゼ、プロテインキナーゼG(PKG)の発現の増加が確認された。
HFpEFは今や最も一般的なタイプの心不全となっており、世界中で最も深刻な健康問題の1つとして位置づけられている。HFpEFを対象とした多くの臨床試験が行われてきたが、いまだその予後を改善するための効果的な治療法の確立には至っていない。その様な状況の中、LIPUSが、血管内皮に直接働きかけ、eNOS-NO-cGMP-PKG経路の活性化を介してHFpEFの病態を改善することを動物モデルで実証することができた。HFpEFに対する有効な薬物療法がない中、超音波による物理刺激という従来の薬物療法とは全く異なるアプローチがHFpEFに有効であることが確認されれば、医学的意義は極めて高いものと考えられる。
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Cardiovasc Res
巻: Jul 19 号: 5 ページ: 1325-1338
10.1093/cvr/cvaa221