研究課題
若手研究
透析患者は要介護の前段階であるフレイル(虚弱)に陥りやすいことが指摘されているが、我が国の透析患者におけるフレイルの詳細な罹患率や予後は不明である。我々は385名の維持透析患者を調査し、フレイルの罹患率は21.4%、プレフレイルで52.6%と一般に比較し3倍程度の罹患リスクであることが判明した。またフレイルは非フレイルに比べ死亡に対して3.08倍、入院に対しては3.07倍のリスクであることもわかり、さらに下肢閉塞性動脈硬化症(PAD)を有することで、2倍フレイルに罹患しやすく、PADを有したフレイル患者は6.89倍の死亡リスク、6.16倍の入院リスクであり、非常に予後不良であった。
維持透析患者におけるフレイルの詳細な罹患率や死亡、合併症におけるリスクの程度が判明したことにより、現状を把握することができ、今後の介入研究や新たな観察研究において比較可能なデータを得ることができた。さらに心血管疾患、透析、フレイルは密接にかかわっていることは指摘されていたが、その中でPADが非常に重要な疾患であることが分かった。PADを予防、治療することでフレイルの罹患を減らす可能性、フレイル患者の予後を改善する可能性を示すことができた。上記の内容は、各透析施設で維持透析患者の治療を行うにあたって、注意すべき状態を明らかにすることができたと考えられる。
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Journal of Clinical Trials
巻: 10 ページ: 1-6