研究課題
若手研究
iPS細胞から視床下部-下垂体オルガノイドを誘導する技術を用いて、発生期の視床下部に発現するFGFシグナルの下垂体発生における役割を検討した。ノックアウトiPS細胞を用いた検討から、FGF8は隣接する口腔外胚葉の維持に関わっており、FGF10はLHX3陽性の下垂体前駆細胞分化に重要であった。FGF受容体阻害薬を用いて下垂体発生の時期におけるFGFシグナルの役割を検討したところ、FGFシグナルは発生初期には口腔外胚葉の維持に関わっているが、下垂体ホルモン産生細胞への分化には明らかな影響はなかった。しかし後期にはホルモン産生細胞の分泌能獲得といった機能的成熟に重要であることが示唆された。
本研究では、ヒトiPS細胞の分化誘導系を用いることで、これまで解析が困難であったヒトの下垂体発生をin vitroで再現し経時的に解析可能であることを示した。それによって、視床下部に発現するFGFシグナルが下垂体発生にどのように関わっており、それが実際に下垂体疾患の発症に関わっていることを示すことができた。本モデルはヒトの下垂体発生・疾患モデルとして非常に有用であり、今後更なるヒト発生学の知見を生み出すとともに、ヒト下垂体疾患における病態の解明や治療法の開発に資するものとして大いに期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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