研究課題
若手研究
本研究では、神経芽腫が有する抗腫瘍免疫に対する抑制効果の作用機序解明を目的とした。神経芽腫細胞株(NLF、GOTO)の培養上清を加えて誘導した単球由来樹状細胞では、本来発現が消失するCD14の発現持続と、発現が亢進するCD1aの発現低下、細胞性免疫を誘導するIL-12の産生低下を認めた。さらに、この培養系にて誘導した樹状細胞を用いたNKT細胞の刺激にて、IFN-γ産生の低下を認めることを示した。これらの結果から、神経芽腫における腫瘍微小環境において、樹状細胞の機能抑制を介した同様の免疫抑制が存在する可能性が示唆された。
がん細胞によって産生される免疫抑制性可溶性因子によって、免疫寛容誘導性樹状細胞(tolerogenic DC)が腫瘍微小環境で誘導されることが、複数のがん種において報告されている。本研究により、神経芽腫細胞株の培養上清に含まれる可溶性因子が、tolerogenic DCを誘導し、NKT細胞活性化能を低下させることが示され、神経芽腫による抗腫瘍免疫に対する免疫抑制機序の一端を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Cancer Sci.
巻: 110 号: 3 ページ: 888-902
10.1111/cas.13933