研究課題
若手研究
これまで、我々はカテコラミン前駆物質であるL-DOPAに特異的な生理作用があると考え、検討を続けてきた。そして、肺血管においてはアドレナリン受容体の刺激による肺血管収縮をL-DOPAが無作用量で増強することが明らかになった。それを踏まえ、肺血管におけるL-DOPAの役割を検討した。アドレナリン受容体の応答に加え、セロトニン受容体やアセチルコリン受容体の応答を修飾することが明らかになったが、その特異性や選択性を確認するために遺伝子修飾動物が必要となった。そこでGPR143欠損ラットを作成した。その肺血管を用いた検討により、アドレナリン受容体の応答を部分的に修飾していることが明らかになった。
私たちの発見により、これまで生理活性がないとされていた化合物に生理活性があることや特異的な受容体があることが明らかになった。新しい受容体とそのリガンドの生体内での役割を研究していくことで今まで説明できなかった疾患や生理現象を説明できるきっかけになる可能性があることを示唆していると考え、未知の受容体やシグナル応答が明らかになったと考えるとその学術的意義も大きいが、疾病の機序解明による新規治療法の開発などにつながる成果となる可能性を考えると社会的な意義も大きい。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Pharmacol Sci.
巻: 148 号: 2 ページ: 214-220
10.1016/j.jphs.2021.11.008