研究課題
若手研究
本研究では全身麻酔における細胞外シグナル調節キナーゼ(extracellular signal regulated kinase: ERK)の役割を明らかにするために、ERKとγアミノ酪酸(γaminobutyric acid:GABA)A受容体活性の関係について解析した。中枢神経特異的にERK2を標的遺伝子欠損したマウスでは、海馬におけるGABAA受容体サブユニットの発現と活性に異常が生じ、また静脈麻酔薬プロポフォールによる麻酔作用が減少することから、ERKがGABA(A)受容体の活性制御を通して麻酔作用に影響を与える可能性が示唆された。
静脈麻酔薬プロポフォールはγアミノ酪酸(γaminobutyric acid:GABA)A受容体サブユニットに結合すると考えられているが、GABA(A)受容体の発現がどのような分子メカニズムで調節され、さらにどのようにしてプロポフォールによる麻酔作用とどのように関わっているかについては未だに不明な点が多かった。本研究の結果はERKが全身麻酔の作用機序において重要な役割を果たしていることを示唆しており、今後の全身麻酔薬開発などに資する可能性がある。
すべて 2018
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J Neuropathol Exp Neurol
巻: 77 号: 9 ページ: 827-836
10.1093/jnen/nly060