研究成果の概要 |
後縦靱帯骨化症(OPLL)の117例(男性72例, 女性45例, 年齢63.7歳)を対象とし, 骨化巣進展と骨代謝動態を調査した. 画像解析にて骨化巣の年毎増加率を計算し, 骨代謝動態は通常項目に加え骨形成・吸収マーカーや, 骨形成抑制蛋白の血清スクレロスチンなどの骨代謝マーカーと骨密度を調査した. 過去の報告から骨化巣年毎増加率7.5%以上を進展群, 未満を非進展群とし検討した. 進展群と非進展群の比較において, 多変量解析では年齢, 血清リン, 血清スクレロスチンが独立した関連因子であった. 骨化進展危険因子は若年と低リン血症と血清Sclerostin高値が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では, 靭帯骨化症の進展と骨代謝動態を解析し, 骨化進展危険因子は若年と低リン血症と骨形成抑制蛋白である血清スクレロスチン高値が示唆された. 血清リンと血清スクレロスチンは共に骨代謝に深く関係する項目であり, 靭帯骨化症の進展メカニズムの解析の一助になる可能性がある. また血清リンと血清スクレロスチンは, 骨化進展を予測する重要なバイオマーカーとなる可能性があり, 臨床の様々な場面において患者の骨化進展速度予測に有用な可能性がある. 最後に, 抗スクレロスチン抗体製剤は, 現在重症骨粗鬆症治療薬として使用されており, 新規薬物治療法の確立が期待される.
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