研究課題
若手研究
軟部腫瘍において、悪性度を決める明確な分子マーカーはほぼ皆無であり、肉腫患者の予後向上を目指した客観性のある分子マーカーの創出が急務である。軟部腫瘍の遺伝子発現データベースから4つの癌精巣抗原の発現に着目し、肉腫症例の切除検体を用いてそれら癌精巣抗原の発現を免疫組織染色で確認した。平滑筋肉腫では、DEPDC1Aという分子の高発現は無再発生存期間が短縮する傾向がみられ、壊死やKi-67標識率の増加といった高増殖性とも相関がある傾向がみられた。DEPDC1AはNFKBパスウェイと深く関連することも知らており、平滑筋肉腫でもDEPDC1Aを介したNFKBパスウェイの異常が治療標的となりうる。
悪性腫瘍である肉腫は希少腫瘍の一つで、これまでその悪性度を予測する客観的な分子マーカーの研究・あるいは治療標的の開発が癌腫に比べてが進んでいないことが問題であった。我々は癌精巣抗原という、精巣と悪性腫瘍でのみ発現がみられる分子に着目したわけだが、1)正常組織では精巣以外の臓器では非常に発現レベルが低く、2)治療標的となった場合に副作用の低減が期待されるという理由がその着眼理由である。実際DEPDC1Aの高発現が平滑筋肉腫でその悪性度と関連しうることが示され、すでにDEPDC1Aをターゲットとした治療標的の基礎的研究も進んでいることより、平滑筋肉腫の新たな治療展開が期待される。
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