研究課題/領域番号 |
18K18162
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
豊田 健太郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問助教 (60723476)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ブロックチェーン / 分散学習 / インセンティブ・メカニズム / スケーラビリティ / ブロックチェーン解析 / メカニズムデザイン / Bitcoin / Ethereum / フォレンジックス / 機械学習 / フォレンジクス |
研究実績の概要 |
主に2つの研究に取り組んだ。1つ目は、昨年度に引き続き、ブロックチェーンのサイズの増加に伴い、仮想通貨の取引履歴解析を効率的に行うために分散学習を用いるための基盤研究である。仮想通貨の取引履歴解析の分散学習のためにフェデレーションラーニング (FL: federated learning) を用い、学習協力者に仮想通貨によるインセンティブを配布するメカニズムを提案した。参加者が完全に利己的、すなわち自身の利得を最大化するような行動を選択するという仮定でインセンティブ・メカニズムをデザインしたが、実際の参加者は人間であるため、人間の心理に基いた行動を想定する必要があった。そこで行動経済学 (behavioral economics) を用いた参加者がより人間的な行動選択をする仮定におけるメカニズムの解析を行った。さら に、これらの知見に基づき、インセンティブメカニズムを考慮したブロックチェーン統合型フェデレーションラーニングに関するサーベイ論文を執筆、投稿し、IEEE Internet of Things Journal (IoTJ)に採録された。 2つ目は、Ethereumブロックチェーンの性能ボトルネックを改善する研究に取り組んだ。具体的には、shardingおよびrollupsと呼ばれるブロックチェーンの並列処理技術を用いるにあたって、Ethereumアカウントの残高の管理手法および検証に必要なデータサイズをデータ構造およびコミットメントスキームを用いることで小さく手法を提案した。本研究成果は学術論文誌Cryptographyにて採録された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記いずれの研究もおおむね順調に進展している。1つ目の研究においては、上記の採録されたサーベイ論文執筆の上で1-bit knowledge distillation (KD) と呼ばれる手法がインセンティブ設計に有力であることがわかったため、現在KDをFederated Learning (FL) のプロトコルにどのように組込むべきかに取り組んでいる。さらに、行動経済学を用いたインセンティブデザインにおいて一定の成果が出たため、当該分野の国際会議IEEE International Conference on Metaverse Computing, Networking and Applications (Metacom 2023) に論文を投稿中である。
また2つ目の研究では、サーベイの結果よりKate, Zaverucha and Goldberg (KZG) コミットメントスキームを用いることで大幅な計算量削減が見込めることがわかったため、これをプロトコルに組込み、IEEE Transactions論文誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度が最終年度であるため、論文の執筆および公表が第一目標となる。上記3つの研究成果を論文誌および国際会議論文として公表する。さらに、Bitcoinの取引解析に関してsemi-supervised learningが有効であることがわかったため、この研究成果も論文誌および国際会議論文として公表する。具体的には、アカウント間のトランザクションを双対グラフとして特徴抽出を適用することで、学習時にアクセスできるラベル付きデータセットが少ない場合においても高い識別性能を得られるものである。
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