研究課題/領域番号 |
18K18503
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
森本 隆子 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (50220083)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ナショナリズム / 郷土 / 日本風景論 / 山岳小説論 / 山岳風景画 / 吉田博 / 虞美人草 / ジェンダー / 夏目漱石 / 崇高(sublime) / 島崎藤村 / 『日本風景論』 / 日本山岳会 / 山岳風景 / Sublime(崇高) / 志賀重昂 / 独歩・花袋・藤村 |
研究成果の概要 |
ナショナリズムの形成にあって「我が郷土」とも呼べるような愛郷精神が国民全般に共有されることは不可欠である。本研究では制度としての「国家」と対立しながらも相補的なロマン主義的「郷土」意識の生成を「感性のナショナリズム」と命名し、その系譜と構造を追究した。 『日本風景論』(志賀重昂、1894)を嚆矢とする「sublime」(訳語は「跌宕」)な郷土創出のムーブメントとして島崎藤村らが提唱する「山岳小説論」、水彩画家たちによる山岳風景画のジャンルを指摘し、また「sublime」が内包するナショナリスティックな男性中心主義が夏目漱石の『虞美人草』(1907)によって批判されていることを論じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本近代におけるナショナリズムの生成について、「国家」研究の側面に関しては、これまで主に社会科学が大きな研究成果を挙げてきたが、国家を形成する「国民」の創出に関する人文科学の側からのアプローチはまだ緒に就いたばかりである。ナショナリズムの高揚に向けて、感受性はいかに陶冶されたか。国民が誇りを覚え、帰属を実感するような郷土意識の生成について、小説はもちろん、紀行文学や風景画が広くその裾野を開拓している構造について剔抉、解明する意義は大きい。一方で、ナショナリズムおよびナショナリズムが内包せざるをえない男性中心主義が、同じ文芸ジャンルの中から自己批判的に自覚されていく様相もまた注目に値する。
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