研究課題/領域番号 |
18K18903
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宗本 晋作 立命館大学, 理工学部, 教授 (20581490)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2018年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 街並み / 注視点 / 印象評価 / 人口知能 / 安全安心 / 犯罪発生 / 歴史的建造物 / 点群 / 避難シュミレーション / 木造密集市街地 / 避難経路 / 注視傾向 / 街並み画像 / 勾配 / 街路ネットワーク / 避難シミュレーション / スケッチ / AI / 訪問意欲 / 色彩 / 街路 / 仮想空間 / 記憶 / 歴史文化都市 / プラットフォーム / 点描 |
研究実績の概要 |
歴史文化都市の評価に関する研究としては、安全安心と感じる環境と犯罪発生の関係を捉え、都市景観の整備に用いる知見とするべく、2021年度より行った「ベイジアンネットワークを用いた路上犯罪発生箇所の特徴に関する研究」を査読論文に纏めた。 また歴史文化都市の質的な魅力を評価する手法の開発という観点から、被験者の提示された歴史文化都市の街並み画像に対しての訪問意欲をDeep Learningを用いて推定する技術を開発し、「マルチモーダル深層学習を用いた街並み画像に対する人間の振る舞い予測」として日本建築学会計画系論文集の査読論文に纏めた。 本研究の目的は、歴史文化都市の『歴史・文化面』のデータ化のプラットフォームの考案にあり、当初は歴史文化都市の点群データの取り扱いを予定していたが、上記のように、点群データだけに限らない、画像やGISなどの他のデータに保持された歴史文化都市の質的部分である『歴史・文化面』の評価に有用な方法を開発し、示すことができた。 研究当初にプラットフォームに用いる予定にあった3Dレーザースキャナーによる点群データに関しても、昨年度、白雲荘という歴史的建造物の撮影を行い、点群データの取得を行うことができた。白雲荘は研究者が所属する大学の資産であり、2023年度に研究を纏めていくにあたり、点群データの質的要素と実空間の比較調査を行いながら仮想空間を準備するのに、建物の立ち入りが比較的自由に行えて有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究としては、都市に対する魅力の質的な部分と注視点、振る舞い予測の関係を分析する方法を「マルチモーダル深層学習を用いた街並み画像に対する人間の振る舞い予測」として纏め、日本建築学会計画系論文集に掲載された。 都市の安全・安心と感じる環境の質的な部分と路上犯罪発生個所との関係を確率で関係づける方法を纏めたものが、「ベイジアンネットワークを用いた路上犯罪発生箇所の特徴に関する研究」として、歴史都市防災論文集に掲載された。 上記のように、コロナ禍で現地調査が行えなかった代わりに様々な技術を取り入れ、歴史文化都市の質的な部分に対する評価に関する研究は、予定以上に展開できている。 一方、もう一つの要素技術である歴史文化都市の質的な部分を記録する方法、いわゆるプラットフォームに関する研究は、ようやくコロナ禍が明けて、研究者の所属する大学の所有する歴史的建造物「白雲荘」を3Dスキャナーで撮影し、点群データの取得を行った。 これより、歴史文化の「記憶」の抽出として、大学の白雲荘に関する過去の記録を遡る。点群データと点群データに基づいて作成した3Dデータを併用し、仮想空間に再現するとともに、得られた「記憶」をどのように関係づけていくかについて、現地調査を行いながら試行する予定である。 上記のように、研究目的の達成に向けて見通しは立てて進めているものの、コロナ禍の影響でやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まずこれまでコロナ禍で遅れたもう一つの要素技術である場所の「記憶」を記録する方法について、3Dスキャナーの点群データを入手することができた白雲荘を対象に試行する。場所の「記憶」の抽出としては、大学の記録を遡ると共に、現地調査を行い、記録と照合する。可能であれば、利用した人に対するヒアリングの実施なども視野に入れ、「場所の記憶」の抽出を試みる。 同時に点群データと現地調査に基づいて、極力現実に近い、自由に加工できる仮想空間の準備を行う。抽出した場所の「記憶」をどのように記録するか、また記録した場所の「記憶」をどのように抽出し、活用するかの方法を考案し、試行する予定である。 加えて、歴史文化都市の伝統的な街並みは、残されてきた建物の築年数に幅があり、個々に異なり、そこに豊かな個性がある。このような建物群によって形成されていることが歴史文化都市の質的な部分を保持する要因になっていると捉えると、この保持には、具体的な制約を強め過ぎず、残されてきた個々の建物や景観に対して、人々が共通で調和すると感じる最小限の制約を把握して設定する独自の景観規制が必要になる。 そこで本研究の提案に併せて、歴史文化都市の質的な部分の保持に適した規制を「景観条例における感性評価に基づく組合せ推論を用いたファサードの構成要素の抽出に関する研究」として査読論文に纏める予定である。 これらを組み合わせて、研究全体を都市の文化や質、記憶の面に加え、これまで取り組んできた数理面の評価についての内容と組み合わせ、都市を数理的な面、記憶や文化面からの両方からの評価を行いながら、質的部分を保持していく規制と共にあるプラットフォームを提案して纏める。
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