研究課題
挑戦的研究(萌芽)
グルタチオンS-転移酵素Noppera-bo (Nobo) は、昆虫ステロイドホルモンの生合成に特化した役割を持つ。本研究では、構造生物学的な解析手法を導入することで、Noboのリガンド結合部位に挿入される化合物の同定を進め、未同定のNobo内在性基質の解明を目指した。本研究期間中に真の内在性基質を確定するには至らなかったが、Nobo阻害剤化合物の探索と合わせた成果から、哺乳類ステロイドホルモンである17beta-エストラジオールがNoboのリガンド結合部位と強い相互作用を示すことを明らかにした。その他のデータも併せて考察すると、Noboの内在性基質はステロイドである可能性が強く示唆された。
昆虫ステロイドホルモンは、昆虫の脱皮や変態という多くの人々にとって身近な生命現象に深く関与する。しかし、昆虫ステロイドホルモン生合成に特異的に関わる酵素は、タンパク質としてどのような特徴を有しているのかを追究した研究は多くない。本研究は、昆虫ステロイドホルモン生合成高酵素の1つNoppera-boのタンパク質構造の解明に成功した世界ではじめての事例である。また、本研究で明らかにされた酵素活性阻害剤との複合体構造は、今後の内在性基質の同定にむけたさらな流研究だけでなく、昆虫ステロイドホルモン生合成酵素を阻害するような農薬開発にも重要な足がかりを与える。
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J Biol Chem.
巻: - 号: 20 ページ: 7154-7167
10.1074/jbc.ra119.011463
120007165465
https://www1.tara.tsukuba.ac.jp/projects/niwa/
https://sites.google.com/view/niwa-lab-tsukuba