研究課題/領域番号 |
18K19526
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
武城 英明 東邦大学, 医学部, 教授 (80291300)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2018年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイド前駆体タンパク / LR11 / 神経細胞 / 免疫染色 / プロテアーゼ / 糖尿病 / 可溶性LR11 / バイオマーカー / アルツハイマー / 可溶型LR11 |
研究実績の概要 |
本研究は、糖尿病を引き起こす脂肪細胞障害とアルツハイマー病の早期神経変性の共通メカニズムとして『可溶性アポEレセプターを放出するプロテアーゼ制御の破綻』という仮説をたて、米国ワシントン大学セントルイス校神経科と共同で、米国アルツハイマー病研究拠点(ADRC)バンクより送付されたヒトアルツハイマー病匿名化脳組織切片と髄液の検体解析を行い、可溶性アポEレセプターLR11から視た糖尿病とアルツハイマー病の発症に共通する病的障害メカニズムを提示することを目的とした。アルツハイマー病で特徴的な脳内アミロイドプラークの形成はアミロイドβペプチド( Aβ)産生に代謝分解が伴わないことが一因となる。GWAS研究によりアルツハイマー病リスクとしてアポEゲノタイプとLR11遺伝子多型が同定された。LR11は細胞内でアミロイド前駆体タンパク(APP)と結合しAβの代謝を促進する一方、LR11はアポEと結合するレセプターでもあり、その結合はAPPと競合する。これまでに研究代表者は、研究協力者R. Perrin博士より供与されたヒトアルツハイマー病の脳組織切片と髄液検体を用いてアルツハイマー病の病期、アポEゲノタイプとCSF可溶性LR11濃度の関連を解析してきた。令和4年度は、LR11細胞膜外領域を認識する抗体に加えて新たなC末端領域を認識する抗体による染色を開始した。その結果、代表的な切片を用いた解析により、神経細胞におけるLR11発現はアポEゲノタイプE4で低下しているのに対し、アルツハイマー病発症とともに早期より増大している傾向があった。このことから、神経細胞においてプロテアーゼによるLR11のプロセシングが病態形成に関わる可能性がある。来年度、それらの染色差異を全検体の染色結果から定量化し病期との関わりを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ヒトアルツハイマー病脳組織切片のLR11免疫染色は、複数の異なったLR11細胞外領域を認識する抗体に加えて、細胞内領域を認識する抗体を用いた免疫染色も加え、代表的切片の染色強度を比較することで、神経細胞におけるLR11発現はアポEゲノタイプE4で低下しているのに対し、アルツハイマー病発症とともに早期より増大していることが示唆された。当初、予定していたアポEゲノタイプごとの切片における異なった認識領域を持つ特異抗体の染色結果の比較解析には至らず、研究計画に比べてやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトアルツハイマー病脳組織切片のLR11免疫染色は、当初予定していたLR11細胞外領域抗体A2-2-3抗体によるヒトアルツハイマー病脳組織切片の免疫染色に、市販化されている細胞外領域を抗原とする抗体Ab1190684、細胞内領域を抗原とした抗体C-term16642を加えて、代表的切片を用いてプレリミナリーな結果を得ることができた。この過程で今後、全検体の染色を行うにあたり、技術的問題点は全て解決している。最終年度は全検体の免疫染色強度の定量的評価を行う。現在すでに、髄液中可溶性LR11の測定結果を基にバイオマーカーとしての意義を米国ワシントン大学研究者と共に検討を始めている。
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